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≪DVD特典≫
・獣の仕業による全編副音声コメンタリー
・上演台本PDF
公演名:
獣の仕業 第十五回公演
「サロメ」[■■■, ■■■, Lema Sabachthani?]
作:オスカー・ワイルド
翻訳:森鴎外
脚色・演出:立夏
上演時間:約95分
■あらすじ
眼下に真っ青な死海が広がるマカエラスの要塞では、ユダヤの王ヘロデの誕生日の祝宴が行われている。
王の後妻であるヘロディアの娘サロメは、祝宴を抜け出した先の庭で預言者ヨカナーンの声を聞く。
それは近親婚の禁忌を犯した義父ヘロデと母ヘロディアに対する裁きの預言であった。
サロメはその美しさに魅了され口つけを求めるが、
ヨカナーンは彼女の穢れた生い立ちを呪うばかりである。
祝宴は進み、ヘロデ王がサロメに告げる。
「俺のために舞え。舞ってさえくれれば、望むものを何でもやる……」
穢れの血は、無垢の恋は、何処に流れつくのか。
■キャスト
サロメ(ユダヤの王女 ヘロディアの娘)…雑賀玲衣
ヘロデ(ユダヤの王、サロメの義父)…手塚優希
ヘロデの穢れ ファサエリス(ヘロデの先妻)…小林龍二
ヘロディア(ヘロデの妻、サロメの母)…柳橋龍(兎団)
ヘロディアの穢れ フィリポ(ヘロディアの先夫、ヘロデの兄、サロメの父)…佐藤天衣(兎団)
ナアマン(首斬役)…古川ゆかり
ヨカナーン(預言者、イエスの洗礼者)…きえる
■スタッフ
舞台監督:小林龍二
照明:寺田香織
音響:新直人(salty rock/零'sRecord)
撮影・配信:U-3
衣装・小道具:きえる
写真撮影:加藤春日
宣伝美術:立夏
制作:手塚優希
■演出ノート:「河原ノ者達の禊ぎ、贖罪と代受苦のサロメ」
中世日本には河原ノ者(カワラノモノ)と呼ばれ、河原で賤業を営む人々がいた。
その賤業のひとつであった芸能では、河原ノ者が舞台上で異形の姿を晒すことで常人の罪を引き受ける、代受苦(ダイジュク)という契約があった。
個人が人間の罪を請け負うという点で、イエスの贖罪にとても良く似ている。
獣の仕業では河原を舞台とし、身体に日本芸能の作法を取り入れ、河原ノ者達の演じるサロメとして仕立てる。
また、禁忌の犠牲になったヘロデの先妻やヘロディアの先夫を役として追加し、異形として穢れを表現する。
サロメの先行小説であるフローベール「ヘロディア」の一節も引用し、穢れの由縁も掘り下げて行く。
禁忌の夫婦の娘サロメ。彼女が自らにも流れる穢れの血を請け負い、
善悪も生死も変貌させ自由になる──代受苦を通して、そんな無垢の恋を表現したい。
聖書を原典とするワイルドのサロメは水や河とは縁深い。
河原ノ者達の風景と、有機的にリンクしてくれるだろう。
(獣の仕業代表 立夏)